近年の公立高校入試の問題は以前と比べて非常に難易度が上がっています。
暗記のみでは乗り切れない問題も多く、応用力が試される試験です。
特に英語はほとんどが長文問題と英作文で構成されているため、
対策をきちんとしないと得点できません。
そこで、
今回は学習塾勤務10年以上の私が、
過去問分析から見えた、
三重県公立高校入試の英語の傾向と対策をお伝えします!
ぜひ参考にしてください!
三重県の公立高校入試
三重県の公立高校入試は前期と後期に分かれています。
どの科目も試験時間は45分です。
令和6年度入試の前期で英語を使用した三重県中部の主な高校は
神戸高校 理数科
飯野高校 応用デザイン科
飯野高校 英語コミュニケーション科
津西高校 国際科学科
津東高校 普通科
久居高校 普通科(選択)
上野高校 理数科
名張高校 総合学科
名張青峰高校 普通科
名張青峰高校 普通科・文理探求コース
です。
前期入試では英和、和英ともに紙の辞書の使用が認められていますが、
ある程度は辞書を引かずとも文章を読めたり書けたりしないと
試験時間に間に合わないので、
辞書に頼りすぎないようにしましょう。
後期入試では5教科の受験が必須になっています。
後期の英語の傾向と対策
三重県のHPにある、令和6年度の「出題意図」には以下のように記載があります。
1 文・文章及び対話を聞いて,概要や要点,話し手の意向などを理解する力をみるようにした。
令和6年度県立高等学校入学者選抜
2 まとまりのある対話文及び文章の概要や要点を読み取る力をみるようにした。
3 初歩的な英語を用いて身近な事柄を適切に表現する力をみるようにした。
学力検査問題出題意図【後期選抜】
これを踏まえて、各大問を見ていきましょう。
第1問 リスニング
2024年度 | 2023年度 | 2022年度 | 2021年度 | 2020年度 | |
(1) | 表を見て質問に答える問題(1問) 1回 | 表を見て質問に答える問題(1問) 1回 | 表を見て質問に答える問題(1問) 2回 | 表を見て質問に答える問題(1問)2回 | 表を見て質問に答える問題(1問)2回 |
(2) | 短い対話を聞いたあと、質問に答える問題(3問) 1回 | 短い対話を聞いたあと、質問に答える問題(3問) 1回 | 短い対話を聞いたあと、質問に答える問題(3問)2回 | 短い対話を聞いたあと、質問に答える問題(3問)2回 | 短い対話を聞いたあと、質問に答える問題(3問)2回 |
(3) | 対話の最後に読まれた英文に対して答える問題(4問)1回 | 対話の最後に読まれた英文に対して答える問題(4問)1回 | 対話の最後に読まれた英文に対して答える問題(4問)2回 | 対話の最後に読まれた英文に対して答える問題(4問)2回 | 対話の最後に読まれた英文に対して答える問題(4問)2回 |
(4) | 長い対話を聞いたあと、質問に対して答える問題(3問)2回 | 長い対話を聞いたあと、質問に対して答える問題(3問)2回 | 長い対話を聞いたあと、質問に対して答える問題(3問)2回 | 長い対話を聞いたあと、質問に対して答える問題(3問)2回 | 長い対話を聞いたあと、質問に対して答える問題(3問)2回 |
※書かれている回数は英文が読まれる回数です。
上の表を見て分かる通り、問題構成は5年間全く変わりません。
それぞれの問題で読まれる英文の量も変化がありません。
しかし、
2023年度入試から、
(1)~(3)については、英文を読まれる回数が2回→1回になりました。
繰り返しますが、読まれる英文の量は変化がありません。
したがって、2023年度からは難易度が上がったと言っていいでしょう。
1回で聞き取れるリスニング力が必要です。
第2問 対話文&資料問題
対話文の構成も例年大きな変化はありません。
2題構成です。
(1)は対話文問題です。
会話の流れに合う文を選ぶ問題
正しく本文の内容を述べている英文を選ぶ問題
の2つの小問があります。
本文内容についての問題は、
年度によって根拠がある場所が全く違うため、
対話文を最初から最後まで読まないと安定して正答することはできません。
変に一部分だけ読むのではなく、
きちんと読み切る練習を普段からした方が点数は上げやすいでしょう。
(2)は資料を見て答える問題です。
様々なパターンがあるので、以下の表をご覧ください。
年度 | 資料のパターン |
2024年度 | 起床時刻についてまとめたグラフ |
2023年度 | 図書館についての掲示物 |
2022年度 | メッセージのやり取り |
2021年度 | 電話の伝言メモ |
2020年度 | ピアノの練習時間のグラフ |
このように、パターンはほとんど決まっていません。
英文の量や難易度はそこまで高くないので、
選択肢を先に読み、それに対する情報が無いか資料を確認する、
という手順で行えば点数は取りやすい問題です。
ただし、グラフを使った問題の場合は、数量を表す表現を知らないと解けません。
2024年度は
A quarter「4分の1」
same「同じ」
more than half「半分以上」
two thirds「3分の2」
などの表現。
2020年度は
形容詞・副詞の比較級+than~ 「~より・・・だ」
as+形容詞・副詞+as~ 「~と同じくらい」
などの表現を覚えていないと解けない問題でした。
勉強をしていく中で、知らない表現があれば、
確認をする習慣をつけるようにしましょう。
第3問 英作文
状況と日本語が与えられ、それを英訳する問題です。
例年、自由英作文は出ていません。
各年度で、問われている必要な主な文法事項や表現は以下の表の通りです。
赤文字は複数回出てきている事項です。
年度 | 主な文法事項・表現 |
2024年度 | It is ~ to…「…することは~だった」 whatを使った疑問文 make+人・もの+形容詞 「人を~の状態にさせる」 if 「もし~ならば」の使い方(ifの節は未来のことでも現在で表す) |
2023年度 | whatを使った疑問文 be good at~/well 「得意」 I’m glad that~「~して嬉しい」+for the first time「初めて」 Why don’t you ~?/Let’s ~/Can you~?「~しませんか」 give 人 もの or give もの to 人 「人にものを与える」 teach 人 もの 「人にものを教える」 how to ~ 「~の仕方」 |
2022年度 | be interested in~ 「~に興味がある」 many/much/a lot of ~「たくさんの~」 There is/are~ 「~がある/いる」 want 人 to~ 「人に~してほしい」 Can I~ 「~してもいいですか」など、依頼の表現 be famous for~ 「~で有名」 If~「もし~したら」 the most+形容詞・副詞/more+形容詞・副詞+than any other+単数名詞 「一番~だ」 |
2021年度 | 天気を表す表現 because「なせばら~」やso「だから~」の使い方 目的格の関係代名詞や分詞などの後置修飾の使い方 give 人 もの「人にものを与える」 Whoを使った疑問文の作り方 過去形の使い方(完了形との区別) 「~を通して/~によって」の表現 It is ~ for 人 to… 「人にとって…することは~だ」 |
2020年度 | 「時間がありますか?」の表現 want 人 to~ 「人に~してほしい」 Will [Would] you ~ 「~してくれませんか」の表現 There is/are ~ 「~がいる/ある」 be good at~/well ~するのが上手 to不定詞の副詞的用法「~するために」の使い方 |
表を見ても分かるように、
過去問で出てきた表現は再び出題されることは珍しくありません。
過去問を丁寧に解き、知らない表現についてはしっかり暗記した方が良さそうです。
第4問 長文問題
約1ページ分の長文を読んで答える問題です。
文章量が多く、集中力が必要です。
問題構成は大きく変化はなく、
(1)空欄に合う文を選択する問題
(2)本文の要約文の空欄にあう単語を本文から抜き出す問題
(3)本文の内容に当てはまらない文を選ぶ問題
(4)本文全体の内容に合う選択肢を2つ選ぶ問題
となっています。
(1)については、
What’s wrong?/What’s up? 「どうしたの?」
How about you?「あなたはどう?」
などの会話表現を知らないと答えられない問題もあります。
(2)は、本文から単語を抜き出しますが、
入りそうな単語を本文を見ずに目星をつけられないと答えるのは難しいです。
(3)(4)は、対話文の本文一致問題同様、
文章全体を読まないと得点することは難しいです。
一部分だけ読んで答える、という方法だと、
逆に時間がかかってしまう可能性があります。
三重県公立高校入試 後期 英語の対策
リスニングの対策
リスニングの練習はとにかく聞く回数を増やすことが必要です。
過去問で練習してもいいのですが、いきなり過去問だと難しいという人は、
教科書の本文をQRコードで読み取ってその音声を聞くことも
有効なリスニング対策になります。
聞くだけでなく、マネして音読することも非常に有効です。
シャドーイングやディクテーションができるようになるまで聞きこみましょう。
シャドーイング
聞こえてきた音声を追いかけるように発音をすること。
ディクテーション
聞こえてきた音声を書き起こすこと。
また、単語を覚える際には、必ず発音もセットで覚えましょう。
(その方が覚えやすくもあります。)
正しく発音を覚えていないと、
リスニングで正しく聞き取ることはできません。
英語の学習はリスニングとセットで行うことが重要です。
リスニング以外の対策
英単語を覚える
三重県の高校入試は、
本文を読めないと得点を取れません。
本文を読めるようになるためには単語の暗記は避けて通れません。
初見の文章だと何が書いてあるか分からない、
という人の99%は単語力が不足しています。
ターゲットなどの単語帳を使って、
急いで単語力をつけましょう。
単語を覚えるコツは、
とにかく繰り返すことです。
1回で覚えられる人はほとんどいません。
何度も何度も繰り返すことで覚えていきます。
地道にコツコツ継続していきましょう。
覚えられているか、定期的に確認テストなどを行い、
チェックすることも重要です。
アプリを用いたり、塾でテストを作ってもらうなどをして、
定期的に確認をしましょう。
英文法・表現を覚える
三重県の公立入試には文法問題は出てきませんが、
長文や英作文を解けるようにするためには文法の力は必要不可欠です。
入試まで時間がない場合は、
『きちんとこれだけ公立高校入試対策問題集』などの網羅系の文法問題でも良いと思いますが、
夏休みなど時間がある場合は、
『中学英文法 パターンドリル 中学全範囲』などの、
それぞれの文法事項が細かく学べる問題集を進めた方が点数は安定します。
過去問を解く
英作文・長文問題については、
三重県に限らず様々な都道府県の過去問を解いてみることをおススメします。
三重県の入試は出題のパターンが決まっているといえど、
自分が受けるときも絶対に同じとは言えません。
様々なパターンの問題を解いておくことで、
多少傾向が変わったとしても対応することができます。
その結果、あなたが他の人よりも英語で点数を稼ぐことができます。
今は全国の公立入試問題がネットで探すと出てきます。
ただし、英作文については、
学校や塾の先生に採点してもらうことを強くおススメします。
自分で採点をすると、必要なポイントを押さえられているのか、
判別できません。
また、英作文は添削を多くしてもらえればもらえるほど
実力が向上していきます。
面倒かもしれませんが、採点は先生に依頼しましょう。
最後に
英語はできるようになるまでに時間がかかる科目です。
それゆえ、本番だけ点数が取れる、ということはほとんどありません。
地道な努力が実を結ぶ科目です。
長文を読んで分からない単語が多いのであれば単語を復習したり、
英作文に詰まるようでしたら添削をたくさん頼んだり、
状況に応じた対策をしていきましょう。
皆さんが第1志望の高校に合格できるように祈っています!